「ハノン」は、ピアノの練習をした事がある人なら誰しも聞いたことがあるものです。この教則本ですが、好き嫌いがかなりハッキリ分かれると思います。ちなみに、一言でハノンと言っても色々なタイプがありますが、ここでは「全訳ハノンピアノ教本」の事を指しています。
ハノンは、指の動きの訓練を重視したフレーズ集のような教本です。ですから、あまり「音楽を楽しむ」という感じにはなりません。実際「弾いていて楽しくないから」という理由でハノンを好まない人も多いそうです。
ですが、ハノンを頑張れば各指の動きが滑らかになりますし、ピアノを演奏する際に欠かせない基礎体力も高める事ができます。「楽しくない」ハノンですが、こういった理由から自身のピアノ練習に取り入れている人は非常に多いです。
さて「ハノンは取り入れるのはどの段階からが良いのか?」と感じている方もたくさんいると思います。これに関してですが、ハノンはスタートするタイミングによって、得られる効果が異なると言われています。つまり、目的によって導入するタイミングを変えるべきであるという事ですね。
ハノンを導入すべきタイミングは?
とりあえずピアノの超初心者の方は取り入れない方が良いと思います。繰り返しになりますが、演奏していても楽しくないからです。それに、姿勢や手のフォームなど、ピアノを演奏するための「形」が一定以上にできていないと効き目が下がる、という技術的な理由もあります。
安定しないフォームでハノンを演奏していても、あまり意味はありません。むしろ、変なフォームで固定されてしまって逆効果になる場合さえあります。ですから、初めのうちはピアノに慣れるためにも、バーナムやバイエルに取り組んでみる事をおすすめします。さらに、ハノンを演奏する折は先生にチェックしてもらって、アドバイスを受けながら行うようにするとさらに効果がアップします。
そして、ハノンをスタートさせる具体的なタイミングですが、ブルグミュラーと一緒にスタートするのが良いのではないかと考えています。(色々な意見は存在しますが)
なぜならブルグミュラーくらいから、小指と薬指が本当にバラバラに動くようにならないと成り立たなくなってくるからです。薬指を用いた装飾音や、それなりのスピードのパッセージ等、ビギナー泣かせのファクターがかなりあります。
バーナムやバイエルが終了した時の5本指の独立性に関してですが、親指を100だと仮定すると、薬指はまだまだ1程度です。これでは、ブルグミュラーをきちんと演奏する事はかなり困難であるはずです。
ハノンのフレーズには、小指や薬指の鍛錬に特化しているものがたくさんありますので、ブルグミュラーと一緒に取り組んでいくことで、弱点をカバーしつつピアノ曲に関して上達していくことが叶うはずです。