調律を怠ると、ピアノは劣化してしまいます。なぜならピアノ調律では、音程の確認だけでなく、ピアノの中の点検なども行われるからです。車の整備のようなものだと考えて構いません。
ピアノを弾く人間がいて、ピアノを点検する人間がいてこそ、ピアノは長持ちするのです。弾かないだけならそれほど問題はありませんが、その上ピアノ調律までしないとなると、ピアノの寿命は一気に縮まってしまいます。ピアノの調律は毎月行うようなものではなく、年に一度行えばそれで十分です。それだけで、何十年と弾き続ける事ができるはずです。
ちなみに、ある時期からピアノの外装や内装はほとんど変化しなくなりましたので、数十年後に現在のピアノを見ても古めかしさは感じないはずです。
昔のピアノが良いと言う方もいる
むしろ、昔のピアノを好む人さえ存在します。もちろん、それは調律(点検)がしっかり行われているピアノに限った事であり、放置しているようなピアノは、もちろん良質なピアノではない可能性が高いです。はっきり言って、壊れているかもしれません。
新品のピアノと調律・点検を行っていない昔のピアノとでは、もちろん新品の方が質が良いと思います。ですが、昔のピアノには良質な素材が使われている場合が多いので、20~30年前のピアノであり、かつ調律・点検がきちんと行われているピアノであれば、現在の新品のピアノよりも良い音が出て、さらに耐久性にも優れていもおかしくありません。
実際、国内の中古ピアノは国内外で人気です。ピアノには金銭的な価値も生まれ得ますので、そういった観点から考えても、調律を放棄するのはもったいないですね。
長年放ってあるピアノの問題点
まず、ピアノの中に(鍵盤の下部は顕著です)埃が蓄積して、そこに害虫が生息している可能性が高いです。その害虫が、ピアノのフェルトなどを齧ってしまいます。そして、害虫は卵によってどんどん殖えていってしまいます。こんなコンディションでも、ピアノを演奏する事は普通に出来てしまいますので、きちんと中を見ようとしないと気付けないはずです。
そして、放っておく年月が長引けば長引くほど、湿気が原因でピアノの中に錆やカビができてしまいやすくなります。そして、そのせいでピアノの弦が切れてしまう事も多いです。
それから、それ以外のパーツなどが膨らんでしまって、鍵盤を下げる際に力を込めなくてはならなくなったり、下がっても戻らなくなったりする場合もあります。もちろん、音が出なくなるようなケースもあります。
このような事がありますから、ピアノ調律を行う際には、防虫剤や乾燥材を交換しておく事も必要であると言えます。
幼少のお子さんがピアノを使っている場合は特にしっかり、調律・整備をする必要があります。なぜなら、微妙に狂った音程が身体に染みついてしまう可能性が高いからです。それほどに、お子さんの音感は繊細です。
また、放置期間が長引けば長引くほど、ピアノの調律作業の労力は大きくなりますし、消費時間も長くなります。そうなれば、当然料金も高くなってしまいます。となると「高いし止めておこうかな」と考えて、さらに調律をしなくなってしまいます。
ピアノを守るためにも、やはり年に1度は調律をしてもらうように心掛けて下さい。