楽譜を正しく読むには

本を読む場合の「文字」。自動車を運転する場合の「交通規則」や「道路標識」。これらに沿うように考えれば、楽譜に対しては「音符」ということになります。音符を正しく読む能力がないと、作曲した人の想いを読み取ることはできませんし、大きく的を外したような弾き方をしてしまう可能性が高いです。これでは、曲の魅力や美しさが聴いている人にも伝わりませんよね。

では、ピアノ曲などの楽譜を正しく読めるようになるためには、どんなことに取り組むべきなのでしょうか。

繰り返しが重要

算数の「九九」を例に挙げて考えてみますが、大抵の方は何回も口に出したり、書いたりして記憶したのではないかと思います。楽譜の場合もそれと一緒です。読み書きを何回も行うことで記憶していくのです。ここでは「何回も繰り返す」ということが大事になってきます。

日々の生活と無関係のことは、人間はすぐに記憶から抜け落ちてしまうものです。そして、「楽譜を読む」ということは、当然普段の生活とは無関係です。ですから、せっかくその場では覚えたつもりでも、毎日欠かさず楽譜を読むようにしないと、案外早く記憶から抜け落ちてしまいます。

そうなれば、いざ楽譜を見ながらピアノを弾こうと思っても、全然弾けなくなってしまいます。ちなみに、ピアノも日常生活とは無関係のことなので、ピアノの練習を怠れば、ピアノの演奏自体もできなくなるはずです。

では、実際にはどのような訓練をするべきなのでしょうか。まず、楽譜を読みながら毎日訓練するのは大前提です。そして、その上でワークブックやドリルを繰り返し使ってみるのもお勧めです。また「音符カード」が売っていますので、それを使ってトレーニングするのも良いでしょう。

そして、とにかく丁寧に楽譜を読むように心掛けることも重要です。一個一個の音符を確実に読むようにしてください。「なんとなく」で進めていってもなんの意味もありません。

速度や強弱の記号、スタッカート、スラー、レガートなどの記号にも気を付けるようにしましょう。音符に♯や♭が付いているか否かにも気を使う必要がありますし、そもそも何拍子の曲なのかということや、どのくらいのテンポの曲なのかということも理解しておかなければなりません。とにかく、楽譜に記されている全部の情報を拾うようにしましょう。

「楽譜を読む」という行動自体が全くできない、という人はほぼいません。ドレミファソラシドを理解したら、とにかく自分で楽譜を読んでいくようにしましょう。そして、楽譜に記されているどんなに些細な情報も見逃さないようにすることが大事です。さらに、可能な限り、不明点については自力で調べるようにしましょう。「楽語辞典」を準備しておくと便利です。

このようにトレーニングしていけば、いつしか楽譜をスムーズに読むことが可能になるはずです。そして、観察力や推測力も身に付いて、その曲に詰まっている作曲者の想いなども読み取ることが可能になります。そうなれば、貴方のピアノ演奏はさらに魅力的なものになっていくはずです。

演奏したい曲を、そしてピアノそのものを最大限楽しんで弾くためにも、「楽譜を正しく読む」という技術を必ず身に付けておくようにしましょう。

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