曲想を演奏に反映させる

自身で行き着いた曲想は、どうすればピアノを弾く中で表現することが叶うのでしょうか。基本的には、以下の3つのファクターが関わってきます。

1:速度
2:強弱
3:音色

1:速度

どんな速度でピアノを弾くか次第で、曲から受けるイメージは大幅に異なってきます。その曲にとってベストなスピードを探すようにしましょう。また、楽譜に速度についての指示が記載されている場合もありますので、そういったときは素直に守るようにしましょう。

2:強弱

一般的には穏やかな曲は弱く、活発な曲は強く演奏します。ただし、悲しい曲や楽しい曲の場合は、その悲しさや楽しさのレベル次第で、強さが変動することになります。

一例として、非常に悲しいのであれば強くピアノを弾くことが多いですし、少し悲しい場合は弱く弾くことになるケースが多くなると思います。

そして強弱についても、基本的には楽譜に記載されていますので、それに合うようにピアノを弾くようにしましょう。この強弱と速度を思い通りに操ることができるようになれば、自身が行き着いた曲想を、しっかり再現することが可能になるはずです。

3:音色

音色に関してですが、ピアノでは柔らかい音と硬い音をそれぞれ出すことが可能です。表現したい曲想に沿って、柔らかい音と硬い音を選んでいく必要があるわけですが、これはピアノを弾く人間が、自分の感覚や気持ちで決めていくことになります。ピアノ演奏者の特色が一番反映されるのは、この音色に関するところだと思います。

ただ、柔らかい音と硬い音を狙った通りに使い分けること自体、かなり難しいことです。基本的には力を入れてピアノの鍵盤を叩けば硬い音は比較的楽に出てくれますが、柔らかい音の場合は、腕や手首をしっかり脱力させないと出すことは不可能です。

そしてこの「手首や腕の脱力」が、ピアノを弾く中で最も難易度の高いことだと言われています。それに、そもそも脱力できたからと言って、それだけで思ったとおりの音色を自由に出せるようになるわけでもありません。自分で、こういう感じの柔らかい(硬い)音を出そうなどと考えていかなければ、音色を出しわけることはいつまでもできません。

ですから、音を具体的に想像してみることが大事になってきます。そのためにも、プロのピアノ演奏者による演奏を何回も聴いて、ピアノが発する様々な音色を、しっかり聴き分けられるようになりましょう。

自分が思ったことや考えたことを、音色に乗せて誰かに伝達することが可能なのも、音楽の面白いところです。どんな曲にも、作曲者や演奏者の感情が乗せられているのです。

そういったものを読み取れるようになれば、さらに音楽を楽しむことが可能になります。そして「自身の感情を音楽に乗せられるようになる」というのは、ピアノなど、自分で音楽を表現できる人間だけの特権であると言えるでしょう。

ピアノを熱心に練習することはもちろん大事ですが、それだけでなく、その曲から読み取った色々な感情を、自身のピアノ演奏で再現できるように考えていきましょう。

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