グランドピアノはなぜあの形なのか?

屋根の曲線の意味

グランドピアノの曲線は美しいものですが、見た目だけを意識しているわけではなく、音を反射する能力も備わるように設計されています。屋根を開けるとそれが音を反射して、音が右へと反射します。右方向というのは、ホール会場などの観客席の方向ですから音が美しく聴こえるのです。

そして、屋根の開き方(角度)は3レベルくらいに調節可能なので、バイオリンとセッションするのであれば、半分程度開けるだけにしておいて、音量を下げるというような事もできます。当然、屋根を開けずにピアノを演奏すれば音はかなり小さくなります。

グランドピアノの形状の意味

「鳥の羽のようなフォルム」と、グランドピアノの形状は良く表現されます。これは、弦の固有振動によってピアノの音階が成り立っている事と関連しています。

キーナンバー(白鍵・黒鍵含め、左からいくつ目の鍵盤なのかを示すナンバー)と、弦の固有振動数(1秒間に何度弦が振動するかを示すナンバー)の間には、2字曲線のような関係性があります。

キーナンバーが大きくなれば、固有振動数は一気にアップします。他方、弦長に弦の固有振動数は反比例しています(力学の原則よる)。鳥の羽のフォルムに少し近いわけですが、実際のピアノを見ると、低音部分はもう少し短いはずです。

それは、弦長だけでなく、弦の重さも、弦の固有振動数には関係しているからです。ウエイトのある巻き線弦を低音部分に用いる事で音を低くして、短い弦で成り立つように造られているのです。

仮に、ピアノの響板が鳥の羽のようなフォルムではなく、長方形のようなシンプルなフォルムだったとしましょう。その場合、響板自体が音程を有してしまって、高音から低音まで調和の保たれた音色を音量をキープしにくくなってしまいます。

また、高い音を発する際には、響板の面積は狭くしておいた方が、振動が多くなりやすくなるという事情もあります。例えばスピーカー等に関して、小さい物で高音を、大きい物で低音を、という感じで使い分けられているのと同じような発想です。ちなみに、長方形のように思えるアップライトピアノの響板ですが、これも振動部位は斜めに限られています。

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